パリから帰国しました。
2015年10月から舞台演出の研修のためにパリに滞在していましたが、2016年3月1日に帰国しました。
2016年6月初めまでパリに住む予定だったので、3か月早くなりましたが、住んでいたアパートに問題が多く、帰国しました。
パリではフランス人も外国人もアパートを見つけるのに1か月かかります。6月まで3か月住むのに1か月もアパートを探すのは時間の無駄だと考えたからです。その上、私が住んでいたアパートはでは、ソファーベッドに寝ていて、ベッドの質に問題があり、睡眠が良く取れず、背中、腰、胃腸の調子が悪くなり、体調も悪くアパート探しは無理と判断しました。他にも私のアパートではシャワーのドアが壊れたりや玄関のドア枠に罅が入っても大家さんが1か月くらい修理してくれませんでした。修理に1か月かかるのはパリでは日常ですが・・・。
10月から11月にかけては語学学校の掲示板で見つけた家にホームステイをしていてたのですが、窓やクローゼットが壊れているのに、大家さんが迅速に修理をしてくれず、結局11月後半に他のアパートを借りました。しかしそのアパートでも問題があり帰国しました。5か月パリに住んでみて感じたし、事実だと思ったことは、アパートを見つけることが時間もかかるし、外国人だけでなくフランス人にとってもかなり困難になっていることです。まともなパリ市内のアパートは1000ユーロ(約13万円)以上はします。また問題が有ったとき代わりに家賃を払える保証人がいないとアパートを借りることはできません。なぜこのようにパリのアパート代が高いか原因を推測すると、まずパリは世界一の観光都市であること、次におそらく80年代からの不況で投資のために人が住んでいない不動産があまりにも多く、実体経済よりパリは物価が上がってしまっていることがあげられます。おそらくパリの物価は東京の2倍近くはするようになってしまっています。
パリでは住居探しに苦労しましたが、フランス語は語学学校にかよってできるかぎり勉強できました。また舞台も国立劇場、国立演劇センター、民間劇場、コンサートホールなど多くの劇場で約70本、演劇、オペラ、コンサートを観ることができたのは収穫でした。パリで舞台を観て感じたのは70本観て心の底から感動した作品は2、3本しかなかったのですが、どの作品も約20ユーロ(2500円)程度の値段なら十分納得できるものだったことです。私がフランスの舞台を観て納得できたのは俳優やスタッフの基本的育成がやはり公立、私立の学校や劇場の現場で行われていることが大きいと思いました。特に俳優は舞台上でギリシャ悲劇、ルネッサンスから現代までの戯曲の言葉を正確にイメージして話し、聞く訓練ができていました。このことは当たり前ですが、俳優の基本的な教育として戯曲の言葉をイメージできていることは大変すばらしいし、難しいことだと思います。とにかく舞台に立っている俳優から知性を感じるのです。今回のパリ滞在の目的だったフランスのルネッサンスから現代までの演劇を劇場で学ぶことの一端は達成できたと考えています。
ルーブル、オルセー美術館、ポンピドゥーセンターなど美術館にも時間があるときは通い3000年前のギリシャ美術から現代美術まで観ることができて勉強になりました。
ただしフランスも含めて、ヨーロッパでは平日の20時―23時まで舞台観ることができる観客層が経済的に余裕がある人に限られる傾向があるのは問題だと思いました。公共劇場の観客の殆どが上流階級の60歳以上の階層になってしまうからです。フランスで、28歳以下の若い世代や失業者、障害者は30%のチケット代で観劇できる制度は観劇層の階級差を是正することが出来る大きな手段だと思うので続けてほしいと考えています。
2015年1月と11月にパリでテロが起こり、パリ市民がテロに脅えながら生活しているのは残念な点でした。またパリでは外国人、移民、難民に対して排斥の空気が強まっていたのは事実です。その証拠にフランス州議会議員選挙で「反移民」を掲げた国民戦線が多くの票を集めて2つの選挙区で第一党になる寸前まで行っていた。劇場や美術館に入るには手荷物検査と金属探知機による検査がありました。また私の語学学校は国立の学校だったので学校から1分出るだけでも手荷物検査がある状態でした。またスーパー、デパートなど公共の施設に出入りするには手荷物検査があったので、テロ対策のためにパリ市民かなりの不便を強いられているのは間違いありません。ただしパリがテロの標的になっているのは欧米諸国が中東の紛争解決のためにISなどに対して空爆などの軍事行動を行っているのが一因だと思うので、一刻も早く中東やアフガニスタンの戦闘地域の問題に対して軍事力ではなく、国連などの第3者を交えた対話による和平交渉で問題解決を行うべきだと考えます。
私の今後の予定ですが、福岡演劇工房の芸術監督の活動としては、まず英語圏の戯曲を読んで、何度も再演してレパートリーにすることのできる作品を選択する作業をしたいと考えています。英語圏はイギリス、アメリカだけでなく、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、南アフリカ、ナイジェリア、スリランカ、シンガポールなど全世界にわたって世界的な劇作家が育っている言語圏なので、英語の戯曲を読む作業にはかなり時間をかけたいと考えています。個人的には南半球の劇作家の戯曲に興味を持っています。なぜなら南半球のオセアニアやアフリカでは北半球の資本主義圏とは全く異なる世界観が存在しているからです。イギリス、ロシア、フランスに住んで、個人的には資本主義の世界観(大量生産、大量消費)に限界がきていると感じているからです。中東やアジアでの戦争もおそらく資本主義国家が近代以降これらの地域から資源を消費し続けてきた結果起こっていることだと感じられるときがあります。また日本の東京中心の文化・経済状況も過剰な資本主義の結果生まれている状況だと言えるでしょう。中心としての東京に人と資本を集めて、地方は東京のために文化、経済、教育にかんして奉仕し続けなければならない時代はすでに震災後終わっていると言えるでしょう。私が現在住んでいる福岡県糸島市にも震災まえから多くの文化人が本州から移住してきて興味深い文化活動を行っています。現在では、今まで文化圏として周縁に追いやられてきた南半球や原住民、日本では地方の文化が見直される時代になっていると思います。
どちらにしろ、今はパリでの困難な滞在のあと慢性疲労で体調があまりよくないので、少し私には休息が必要です。少しの休息後また演劇創作活動を行いますので、皆様ご支援よろしくお願いします。
2015年10月から舞台演出の研修のためにパリに滞在していましたが、2016年3月1日に帰国しました。
2016年6月初めまでパリに住む予定だったので、3か月早くなりましたが、住んでいたアパートに問題が多く、帰国しました。
パリではフランス人も外国人もアパートを見つけるのに1か月かかります。6月まで3か月住むのに1か月もアパートを探すのは時間の無駄だと考えたからです。その上、私が住んでいたアパートはでは、ソファーベッドに寝ていて、ベッドの質に問題があり、睡眠が良く取れず、背中、腰、胃腸の調子が悪くなり、体調も悪くアパート探しは無理と判断しました。他にも私のアパートではシャワーのドアが壊れたりや玄関のドア枠に罅が入っても大家さんが1か月くらい修理してくれませんでした。修理に1か月かかるのはパリでは日常ですが・・・。
10月から11月にかけては語学学校の掲示板で見つけた家にホームステイをしていてたのですが、窓やクローゼットが壊れているのに、大家さんが迅速に修理をしてくれず、結局11月後半に他のアパートを借りました。しかしそのアパートでも問題があり帰国しました。5か月パリに住んでみて感じたし、事実だと思ったことは、アパートを見つけることが時間もかかるし、外国人だけでなくフランス人にとってもかなり困難になっていることです。まともなパリ市内のアパートは1000ユーロ(約13万円)以上はします。また問題が有ったとき代わりに家賃を払える保証人がいないとアパートを借りることはできません。なぜこのようにパリのアパート代が高いか原因を推測すると、まずパリは世界一の観光都市であること、次におそらく80年代からの不況で投資のために人が住んでいない不動産があまりにも多く、実体経済よりパリは物価が上がってしまっていることがあげられます。おそらくパリの物価は東京の2倍近くはするようになってしまっています。
パリでは住居探しに苦労しましたが、フランス語は語学学校にかよってできるかぎり勉強できました。また舞台も国立劇場、国立演劇センター、民間劇場、コンサートホールなど多くの劇場で約70本、演劇、オペラ、コンサートを観ることができたのは収穫でした。パリで舞台を観て感じたのは70本観て心の底から感動した作品は2、3本しかなかったのですが、どの作品も約20ユーロ(2500円)程度の値段なら十分納得できるものだったことです。私がフランスの舞台を観て納得できたのは俳優やスタッフの基本的育成がやはり公立、私立の学校や劇場の現場で行われていることが大きいと思いました。特に俳優は舞台上でギリシャ悲劇、ルネッサンスから現代までの戯曲の言葉を正確にイメージして話し、聞く訓練ができていました。このことは当たり前ですが、俳優の基本的な教育として戯曲の言葉をイメージできていることは大変すばらしいし、難しいことだと思います。とにかく舞台に立っている俳優から知性を感じるのです。今回のパリ滞在の目的だったフランスのルネッサンスから現代までの演劇を劇場で学ぶことの一端は達成できたと考えています。
ルーブル、オルセー美術館、ポンピドゥーセンターなど美術館にも時間があるときは通い3000年前のギリシャ美術から現代美術まで観ることができて勉強になりました。
ただしフランスも含めて、ヨーロッパでは平日の20時―23時まで舞台観ることができる観客層が経済的に余裕がある人に限られる傾向があるのは問題だと思いました。公共劇場の観客の殆どが上流階級の60歳以上の階層になってしまうからです。フランスで、28歳以下の若い世代や失業者、障害者は30%のチケット代で観劇できる制度は観劇層の階級差を是正することが出来る大きな手段だと思うので続けてほしいと考えています。
2015年1月と11月にパリでテロが起こり、パリ市民がテロに脅えながら生活しているのは残念な点でした。またパリでは外国人、移民、難民に対して排斥の空気が強まっていたのは事実です。その証拠にフランス州議会議員選挙で「反移民」を掲げた国民戦線が多くの票を集めて2つの選挙区で第一党になる寸前まで行っていた。劇場や美術館に入るには手荷物検査と金属探知機による検査がありました。また私の語学学校は国立の学校だったので学校から1分出るだけでも手荷物検査がある状態でした。またスーパー、デパートなど公共の施設に出入りするには手荷物検査があったので、テロ対策のためにパリ市民かなりの不便を強いられているのは間違いありません。ただしパリがテロの標的になっているのは欧米諸国が中東の紛争解決のためにISなどに対して空爆などの軍事行動を行っているのが一因だと思うので、一刻も早く中東やアフガニスタンの戦闘地域の問題に対して軍事力ではなく、国連などの第3者を交えた対話による和平交渉で問題解決を行うべきだと考えます。
私の今後の予定ですが、福岡演劇工房の芸術監督の活動としては、まず英語圏の戯曲を読んで、何度も再演してレパートリーにすることのできる作品を選択する作業をしたいと考えています。英語圏はイギリス、アメリカだけでなく、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、南アフリカ、ナイジェリア、スリランカ、シンガポールなど全世界にわたって世界的な劇作家が育っている言語圏なので、英語の戯曲を読む作業にはかなり時間をかけたいと考えています。個人的には南半球の劇作家の戯曲に興味を持っています。なぜなら南半球のオセアニアやアフリカでは北半球の資本主義圏とは全く異なる世界観が存在しているからです。イギリス、ロシア、フランスに住んで、個人的には資本主義の世界観(大量生産、大量消費)に限界がきていると感じているからです。中東やアジアでの戦争もおそらく資本主義国家が近代以降これらの地域から資源を消費し続けてきた結果起こっていることだと感じられるときがあります。また日本の東京中心の文化・経済状況も過剰な資本主義の結果生まれている状況だと言えるでしょう。中心としての東京に人と資本を集めて、地方は東京のために文化、経済、教育にかんして奉仕し続けなければならない時代はすでに震災後終わっていると言えるでしょう。私が現在住んでいる福岡県糸島市にも震災まえから多くの文化人が本州から移住してきて興味深い文化活動を行っています。現在では、今まで文化圏として周縁に追いやられてきた南半球や原住民、日本では地方の文化が見直される時代になっていると思います。
どちらにしろ、今はパリでの困難な滞在のあと慢性疲労で体調があまりよくないので、少し私には休息が必要です。少しの休息後また演劇創作活動を行いますので、皆様ご支援よろしくお願いします。
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