世界ではシリアでアサド政権の転覆を図る欧米とアサド政権を支持するロシアとの間の対立から泥沼の紛争が続いている。日本の政府は、現在も震災の復興が進んでいないにも関わらず、景気回復のための金融緩和に現を抜かしていた。このような世界の現状を映す舞台が興味深かった。鳥の劇場の『セールスマンの死』は現代のインターネット販売と酷似する通信販売の時代に旅回りのセールスマンを続け、資本主義社会の競争に敗れ崩壊する男とその家族を描いていた。現在の日本は後期資本主義にあたり、日本人は資本主義を抑制しあまり浪費しなくても生きていける生活を目指すべきだが、経済発展と大量消費を手放せずにいる。資本主義に翻弄される人間を描いたミラーの作品は現代の日本も驚くほど正確に映し出していた。さらに鳥取で地域に向き合いながら世界を視点に入れた活動を行う鳥の劇場はすでに築地小劇場と同じ水準の演劇的事件になっている。
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