今回、丸知亜矢氏が中心になって、日本演出者協会 東海ブロックが企画した『セルゲイ・ジェノヴァチによるワークショップ』、2013年11月13-17日、場所は名古屋市アートピア7階・第1スタジオだった。(以下、ジェノヴァチWS)
はおそらく日本で開催された海外の演劇人によるWSの中でも最高の物の一つだった。
さらに私は日本演出者協会主催、国際演劇交流セミナーに東京と福岡で過去約5回参加したが、今回のセミナーの方が比較できないほど企画、講師、内容、参加者が良かった。
テキストはドストエフスキー作『カラマーゾフの兄弟』、原卓也訳、新潮文庫だった。参加者は東海、約12人。関東から2人、関西1人、九州1人の約16名だった。(正確な人数は失念した)
内容は、以下のようなものである:
① 講師紹介、自己紹介(私は東京で12日までデビット・ルヴォーのWSに参加していたためアパートの片付けなどで30分遅刻した。ごめんなさい。)
② スタニスラフスキーの人と俳優訓練・演出方法、ロシアの演劇史
③ スタニスラフスキー・システムによる演出のための専門用語の講義(出来事、身体的行動、行動分析の方法、究極課題など)
④ スタニスラフスキー・システムによるリハーサル方法
⑤ 『カラマーゾフの兄弟』第4部、第11編「兄イワン」、3節「小悪魔」のテクスト分析(WSの5日ではこの節のみしか時間が取れなかった。)
⑥ テクスト分析に基づいた参加者によるエチュードの発表と講師からの講評
⑦ エチュードの発表後の参加者・観客と講師による議論
今回のWS参加者はロシアの演劇大学や文学部に数年留学したことがある人から、今年演劇を始めたひとまで多様だっった。
しかし、今回の講師、ロシア舞台芸術大学演出学部教授、舞台芸術スタジオ芸術監督をつとめるセルゲイ・ジェノヴァチ氏(以下ジェノヴァチ)はこの多様な参加者に対して、ロシア演劇史、スタニスラフスキーの人と演出法・俳優訓練法、エチュードの講評、参加者との議論全てにおいて、
ほぼ完ぺきな対応をしていた。
つまり普通の外国人演出家が行ったら、意味不明になってしまうスタニスラフスキーの人生、専門用語、演出方法がジェノヴァチしの手にかかると
実に本当に興味を持っている人なら誰でも分かりやすいものになっていた。
あまり演劇経験の無い参加者もいたが、実に参加者もジェノヴァチの説明を素直に理解しようとしていて、私の視点からはWSがスムーズに進んだと思う。
この参加者が素直にジェノヴァチの言うことを理解しようとしていたことも、このWSが成功した理由の一つである。
ジェノヴァチはこのWSの発表課題「小悪魔」の大きな出来事を
① リーザがアリョーシャでなくその兄イワンを愛すようになり悩んでいる状態でアリョーシャを呼ぶこと
② リーザがイワンへの愛の告白の手紙を渡させるために、アリョーシャにその手紙をわたす。つまり手紙を渡すことによって、リーザはアリョーシャ(リーザの元婚約者)にイワンへの愛の告白をしていること。
と分析し、この2つの出来事に基づき、いつリーザが元婚約者アリョーシャの前でイワンへの愛を告白しているか、リーザの精神の揺れを中心的行動として、リーザとアリョーシャの関係をテクスト分析して見せた。
参加者はその後この分析に基づいて、エチュードを2度、発表した。
私たちのグループは戯曲の設定に忠実に従うことを選択した。
自分でアリョーシャをジェノヴァチの行動分析に基づいて「役を生きる」(スタニスラフスキーは役を演じるのでなく「生きる」という言葉をつかった)と驚くほど
自分の身体や精神が行動し始めることに気付いた。
私は外国人演出家によるWSに日本で20回以上は参加していると思うが、このような衝撃的経験は稀だった。
ちなみに他の参加者は演出家が登場する組、女性を男性が演じる組。あまりリアルでない装置を使う組など様々だった。
エチュード発表後の講師との議論も、ジェノヴァチの自ら芸術監督をつとめる舞台芸術スタジオの「兄イワン・フョードルビッチ」の演出の話。イワンを他の登場人物と観客が裁判所で裁判するという
演出設定の話などかなり実際のジェノヴァチの演出術の一端にも触れられて大変有意義な時間だった。
最後に中心になってこのWSを企画した丸知と日本演出者協会東海ブロックと助成面から支えてもらった日本演出者協会に感謝したい。
また自分も自己の劇団の演出に毎日追われるだけでなく、日本演出者協会福岡ブロックをまとめてこのような国際演劇交流セミナーを他の講師になったとしても開催したいと思いました。
しかしそのためには福岡ブロックのまとまりの無さを解決しなければいけないと感じた。
福岡ブロックの問題の一つは上の世代が自分の演出だけを考える傾向があって、若手に才能がある人がいても支えられる関係ができていないことである。
東海ブロックは若い世代の良い企画を上の世代が支えるという良い関係がすでにできていた。この世代間交流があってこのWSが初めて成り立っていると感じた。
はおそらく日本で開催された海外の演劇人によるWSの中でも最高の物の一つだった。
さらに私は日本演出者協会主催、国際演劇交流セミナーに東京と福岡で過去約5回参加したが、今回のセミナーの方が比較できないほど企画、講師、内容、参加者が良かった。
テキストはドストエフスキー作『カラマーゾフの兄弟』、原卓也訳、新潮文庫だった。参加者は東海、約12人。関東から2人、関西1人、九州1人の約16名だった。(正確な人数は失念した)
内容は、以下のようなものである:
① 講師紹介、自己紹介(私は東京で12日までデビット・ルヴォーのWSに参加していたためアパートの片付けなどで30分遅刻した。ごめんなさい。)
② スタニスラフスキーの人と俳優訓練・演出方法、ロシアの演劇史
③ スタニスラフスキー・システムによる演出のための専門用語の講義(出来事、身体的行動、行動分析の方法、究極課題など)
④ スタニスラフスキー・システムによるリハーサル方法
⑤ 『カラマーゾフの兄弟』第4部、第11編「兄イワン」、3節「小悪魔」のテクスト分析(WSの5日ではこの節のみしか時間が取れなかった。)
⑥ テクスト分析に基づいた参加者によるエチュードの発表と講師からの講評
⑦ エチュードの発表後の参加者・観客と講師による議論
今回のWS参加者はロシアの演劇大学や文学部に数年留学したことがある人から、今年演劇を始めたひとまで多様だっった。
しかし、今回の講師、ロシア舞台芸術大学演出学部教授、舞台芸術スタジオ芸術監督をつとめるセルゲイ・ジェノヴァチ氏(以下ジェノヴァチ)はこの多様な参加者に対して、ロシア演劇史、スタニスラフスキーの人と演出法・俳優訓練法、エチュードの講評、参加者との議論全てにおいて、
ほぼ完ぺきな対応をしていた。
つまり普通の外国人演出家が行ったら、意味不明になってしまうスタニスラフスキーの人生、専門用語、演出方法がジェノヴァチしの手にかかると
実に本当に興味を持っている人なら誰でも分かりやすいものになっていた。
あまり演劇経験の無い参加者もいたが、実に参加者もジェノヴァチの説明を素直に理解しようとしていて、私の視点からはWSがスムーズに進んだと思う。
この参加者が素直にジェノヴァチの言うことを理解しようとしていたことも、このWSが成功した理由の一つである。
ジェノヴァチはこのWSの発表課題「小悪魔」の大きな出来事を
① リーザがアリョーシャでなくその兄イワンを愛すようになり悩んでいる状態でアリョーシャを呼ぶこと
② リーザがイワンへの愛の告白の手紙を渡させるために、アリョーシャにその手紙をわたす。つまり手紙を渡すことによって、リーザはアリョーシャ(リーザの元婚約者)にイワンへの愛の告白をしていること。
と分析し、この2つの出来事に基づき、いつリーザが元婚約者アリョーシャの前でイワンへの愛を告白しているか、リーザの精神の揺れを中心的行動として、リーザとアリョーシャの関係をテクスト分析して見せた。
参加者はその後この分析に基づいて、エチュードを2度、発表した。
私たちのグループは戯曲の設定に忠実に従うことを選択した。
自分でアリョーシャをジェノヴァチの行動分析に基づいて「役を生きる」(スタニスラフスキーは役を演じるのでなく「生きる」という言葉をつかった)と驚くほど
自分の身体や精神が行動し始めることに気付いた。
私は外国人演出家によるWSに日本で20回以上は参加していると思うが、このような衝撃的経験は稀だった。
ちなみに他の参加者は演出家が登場する組、女性を男性が演じる組。あまりリアルでない装置を使う組など様々だった。
エチュード発表後の講師との議論も、ジェノヴァチの自ら芸術監督をつとめる舞台芸術スタジオの「兄イワン・フョードルビッチ」の演出の話。イワンを他の登場人物と観客が裁判所で裁判するという
演出設定の話などかなり実際のジェノヴァチの演出術の一端にも触れられて大変有意義な時間だった。
最後に中心になってこのWSを企画した丸知と日本演出者協会東海ブロックと助成面から支えてもらった日本演出者協会に感謝したい。
また自分も自己の劇団の演出に毎日追われるだけでなく、日本演出者協会福岡ブロックをまとめてこのような国際演劇交流セミナーを他の講師になったとしても開催したいと思いました。
しかしそのためには福岡ブロックのまとまりの無さを解決しなければいけないと感じた。
福岡ブロックの問題の一つは上の世代が自分の演出だけを考える傾向があって、若手に才能がある人がいても支えられる関係ができていないことである。
東海ブロックは若い世代の良い企画を上の世代が支えるという良い関係がすでにできていた。この世代間交流があってこのWSが初めて成り立っていると感じた。
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