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ロシア、サンクトぺテルブルグで演劇の演出を学んでいます。ロシアの演劇学校の授業内容。さらに、ロシアを中心としたヨーロッパ演劇の現状についてお伝えします。
チューリッヒとローマでのオペラ研修とアカデミーでの授業、そしてロシアの民主化
また、3カ月以上更新しませんでした。大変失礼しました。

9月に2週間、チューリッヒでオペラ『鼻』と11月に2週間、ローマでオペラ『マクベス』の稽古に参加していたので、ブログを書く余裕がありませんでした。それから、11月後半から12月初旬にかけて、パリへ観劇のため渡航したので、かなり多忙な秋だつたと言える。この3週間で飛行機に4回乗って、ローマに2回、パリに1回行ったのだから。

チューリッヒとローマでは、またペーター・シュタイン演出のオペラの稽古を見学させていただいた。例によってこれについては著作権の関係でほとんど書けないが、シュタインの人との接し方、子役から観客として来ていたチューリッヒ市長にまで、全ての人に対して平等に接する態度は本当に見習うべきことだと思った。

パリでは、デクラン・ドーネラン、スタニスラフ・ノルデー等のヨーロッパ一流の中堅演出家の舞台を観劇して、その後彼らと話すことができて、勉強になりました。また、ピーター・ブルックのドラマトゥルグであるマリー・エレーヌ・エスティエンヌとも会うことはできなかったがメールを交換して、ピーター・ブルックの新作の試演に呼んでいただけるけることになった。演劇の世界は人との出会いが本当に大事なので、まず尊敬している演劇人と会ってみることはこれからもやって行きたい。

アカデミーの授業は、演技ではショーロホフの『静かなドン』とドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』、発声ではホメロス『イーリアス』に取り組んでいます。

今回のロシアにおける選挙で、民主化に向けた運動がロシア国内で広がっています。ロシアの民主化は素晴らしいことだけれど、それを後押ししたのが演劇ではなく、ネットの議論と海外に留学したロシア人の影響(英ガーディアン紙)だったのは私としては残念だった。やはり演劇が存在するだけでなく、演劇をどう使うかが重要なのだと考えさせられた選挙だった。演劇の最も大切な役割の一つは、この世界で現在何が起こっているのか、観客に伝えることだと思うからだ。

話は少し変わって、日本の外務省のペテルブルグにおける文化政策を見ると、『日本の春と秋』という二つのフェスティバルを行っているが、こういう国が海外で行う文化イベントは日本を本当に代表するものを日本から持ってこなければいけないということが解っていない。相変わらず、生け花、書道体験、それにビジネス講演等で文化交流としているのが日本の外務省である。

たとえば、ドイツは去年、ベルリーナー・アンサンブル制作、ペーター・シュタイン演出の『壊れ瓶』の公演をペテルブルグで行った。フランスは、リヨンの国立劇場の演出家によるミュッセの『ロレンザッチョ』の公演をマールイ劇場が制作するのを支援したり、コメディー・フランセーズの公演『フィガロの結婚』の招待公演を行っていた。オーストリアのような経済規模が比較的小さい国でさえ、ブルク劇場の『戦争と平和』の招待公演をやっていたのである。日本のお隣の韓国もエイフマン振付のバレエ『チャイコフスキー』をペテルブルグに持って来ていた。このような文化イベントにはペテルブルグの文化・行政のトップが来て、本当に水準の高い文化交流が行われていた。日本の外務相のスタッフはほとんど、諸外国の文化イベントに関心を持っていないし、トップレベルの文化交流が政治・経済もふくめた交流を前進させるということをあまり理解していないきがする。トップレベルの文化交流はその国の存在価値を引き上げる力を持っているので、ヨーロッパ各国はペテルブルグで熾烈な文化交流の競争を行っているのでる。残念ながら日本の外務省はこのことに気づいていないようである。

長くなったので今日はこの辺で失礼します。
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